コミナティ接種後の腋窩のいたみや腫れ
最近、腋窩の痛みや腫れで乳腺外科を受診される若年の方が増えています。患者さんの共通点として少し前に新型コロナウイルスワクチン(コミナティ)の接種を受けたことが挙げられます。現在は、医療・介護職の皆様が先行接種されている状況なので、皆様その筋のかたです。
共通して接種部位の疼痛が消えた後の1週間ぐらいから腋窩の痛みや腫れがでるようです。コミナティの作用機序は以前のブログで書いたように、mRNA注入で体内で自己作成されたウイルスの部品(スパイクタンパク)を異物として認識し抗体が作られていきます。その抗体を作る細胞たちが集結する前線基地として腋窩リンパ節が使われるため、リンパ節が反応し腫大する際に、腋窩の痛みや腫れを自覚するようです。
この様な症状で来院されたかたでも、まずは一般的な乳房の検査を受けていただきます。コミナティの副反応と決め込んでしまい、腋窩リンパ節転移を伴う進行乳がんを見逃すと大変だからです。現在までの症例の集積ではとくにワクチン接種後に特徴的なリンパ節腫脹像はありません。なかには皮質だけが肥厚して、一見転移リンパ節のようにみえるものあります。
対応としては基本的には経過観察です。どうしても痛みが強いようなならばアセトアミノフェンやロキソニンを使用して頂きますが、時間がたてば痛みや腫れはなくなっていくので安心してください。