新型コロナウイルスワクチンの情報 その3 副反応について
本日は新型コロナウイルスワクチン『コミナティ』の副反応について説明します。コミナティの副反応については当日にでるものと後日にでるものとに分類できます。
①当日出現する有害事象
a) アナフィラキシーショック:アナフィラキシーショックは体内に異物が入ることで急激かつ猛烈にアレルギー物質が放出され、その結果、全身の蕁麻疹、血圧低下、気道閉塞などが発症し、最悪に死に至ります。接種後15分以内で出現することが多いようです。ワクチン本体(mRNA)よりはおそらくワクチンに添付されている化合物に反応するのではと言われています。アナフィラキシーショックを起こしやすい人としては、過去にアナフィラキシーを起こした経験があるかたが挙げられます。蜂やムカデ、他のワクチン、抗生剤や造影剤などでアナフィラキシーを起こした経験がある方は今回の接種は見送ったほうがいいかもしれません。治療は、アドレナリンの筋注が最優先され、循環・呼吸動態の管理が必要になります。当院では不測の事態に備え、緊急医薬品や気道確保の準備をしており、仮にこれらが起こった場合も対応が可能です。頻度は100万回の接種で11.1件と報告されています。おおよそ、10万回に1回、2回接種するので5万人に1人で、大垣市ならば2人が発症する計算になります。これは、インフルエンザワクチンよりは多く、抗生剤よりは少ない数値だそうです。
b) 迷走神経反射:注射による痛み、接種での過緊張などで一過性の血圧低下や徐脈、意識障害が起こる現象です。安静にて症状は改善することが多く、後遺症などは残しません。本症の問題は、必ずしもアナフィラキシーショックとの鑑別が容易ではないことです。患者さんも医療側も副反応にはナーバスになっており、気が動転して救急車まで呼んだものの着いたころにはケロッとしているなんてことも予想されます(それはそれでいいのですが・・)。
②翌日以降に出現する有害事象
a) 局所疼痛・発赤・腫脹:ワクチン接種後、接種部ではワクチンに反応して異物反応が起きます。その後には抗体が産生されていきます。その反応に伴い疼痛が出現します。2-3日続くことが多いようで、インフルエンザワクチンなどに比べるとかなり強い痛みの様です。ロキソニンやカロナールなどの解熱鎮痛剤の予防的内服を勧める施設もあるようですが、保険適応はグレイゾーンです。
b) 全身倦怠感:他のワクチン同様に接種後数日間倦怠感を伴うことが多いようです。半数以上の方が感じるようなので、接種直後にはどうしてもの予定などは入れないほうが賢明なようです。
c)その他:筋肉痛、関節痛、下痢、嘔気などが少数認められます。
コミナティの接種で問題となってくるのは、やはりアナフィラキシーに対する対応かと思われます。発症を早期発見、早急に正しい対応をすること、診療所–病院の連携を密にして対応をしていくことが重要です。さらに、起こしやすい人を問診や既往などから、だれもが分かる指標を作って、接種を回避すべきグループ、慎重に経過観察するグループ、通常の経過観察でいいグループに分類させることがもっとも大事と思われます。