新型コロナウイルス肺炎;いまできること、いましてほしいこと。
連日の報道にてご存じのとおり、新型コロナウイルス肺炎の本格的流行が迫っているようです。また、他県から大垣に出張にきていた男性の新型肺炎の罹患が判明し、当地においても感染患者さんの発生も今後否定できない状況です。
このような状況下で、いま、当院の様な地域の診療所やクリニックでできることをまとめてみました。
1. 積極的な検査
普段、いわゆるかぜ症状のみでレントゲン撮影や採血を行うことはまずありません。しかし、新型コロナウイルス肺炎の現在までの国内報告例
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/2019ncov_casereport_200205.pdf の初発症状をみると、いつもの風邪症状と全く変わりないようです。インフルエンザのときの急激な発症様式、麻疹のときの特徴的な口腔内所見といったものがなく、従来の問診、視診、聴診の検査では限界があります。このため、積極的にレントゲン撮影や採血を行い重症患者さんの発見に努める必要があります。ただの風邪に過剰な検査では?と思われる場合があるかもしれませんが、どうかご了承ください。
2. 正しい誘導
新型コロナウイルス肺炎は、ウイルスからの遺伝子を検出するPCR検査で診断するのですが、現状では一般クリニックはもちろん地域の基幹病院でも検査はできません。問診、検査所見、重症度で我々が検査が必要と判断した場合に保健所と相談し、PCR検査を行うかどうかを決めることになります。ただし、その必要性の判断基準が、明確に示されていないのが現状で現場は混乱しております。今後、そのあたりの基準がより明確に示されると思いますので、患者さんを正しく誘導できるよう最新情報の入手に努めたいところです。
3. 感染リスクの回避
当院では、慢性疾患の再診においても基本的には診察なしでの処方せん発行はしていません。ただ、高齢者やハイリスク患者さんに限ってはこの肺炎が終息するまでのあいだは電話での依頼や窓口の申し出で処方箋の発行のみを検討したいと考えております。もちろん、状況に変化がないとう前提です。ただし、厳密に言えば、無診察での処方箋発行は医師法に抵触しますので、もう少し状況を見極めたいところです。
4. スタッフや自分が罹らない
これは、非常に重要です。自分を守るための感染対策を施す必要があり、マスクやビニール手袋を着用しながらの診療になります。また、診察ごとの手指のアルコール消毒を行いますので待ち時間が増えるかもしれません。
そして、次にみなさまにしてほしいことをまとめてみました。
1. 正しい情報を手に入れる
この感染症は『正しく恐れる』必要があります。それには、まず正しい情報を手に入れる必要があります。
下記は、厚労省のホームページに掲載された新型コロナウイルスに関するQ&Aです。よくまとまっているので一度ご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
2. 経過や症状を正しく伝える
先述のごとく、新型コロナウイルス感染症特有の所見はなく、それを疑うにはやはり正確な症状やその経過を伝えて頂くことが重要です。
3. おかしいと思ったらとにかく休むこと
この感染症も体力や免疫力に問題さえなければ、ほぼ全例で軽症で済むようです。この状況下ならば、理由を話せば休養は許容されます。迷ったら休む、これでいいと思います。
4. 体調が良くならなければやはり受診を
厚労者が先日、軽症での医療機関受診を抑制するようにとの通達を出しました。真面目な方だと、重症化するまでじっと我慢してしまうこともあります。やはり、改善がないなら受診は必要です。病院に送る必要があるか?、保健所での相談が必要か?、それを判断するのも我々地域のクリニックの大事な仕事だと思いますし、これがこの国の新たな国難を乗り切るために私ができる唯一の仕事だと思っております。