4回目ワクチン接種の意義

報道のとおり、先日から4回目の新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されました。当院でも今月下旬から開始予定ですが、4回目のワクチン接種の意義について説明します。

厚労省のホームページをみてみると、4回目のワクチン接種の効果は以下のように説明されています。

『ファイザー社のワクチンは、オミクロン株流行下において、3回目接種と比較した4回目接種の感染予防効果は、60歳以上の者において短期間しか持続しなかった一方、重症化予防効果は4回目接種後6週間低下しなかったとする報告(※1)や、接種後30日間で、感染予防効果が45%、発症予防効果が55%、入院予防効果が68%、重症化予防効果が62%、死亡予防効果が74%であったとする報告(※2)、60歳から100歳の者において、死亡、入院のハザード比がそれぞれ78%、64%減少したとの報告(※3)等があります。』

※1:Protection by a Fourth Dose of BNT162b2 against Omicron in Israel;N Engl J Med 2022; 386:1712-1720
※2:Fourth Dose of BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Setting;N Engl J Med 2022; 386:1603-1614
※3:Effectiveness of a second BNT162b2 booster vaccine against hospitalization and death from COVID-19 in adults aged over 60 years;Nature Medicine. 2022 April

報告は、すべてイスラエルで行った4回目の接種のあとのコホート(後ろ向き研究)のデータで、4回目接種群の比較対象は、非接種者となります。接種が遅かった群に何かしらのバイアスがかかっている可能性があるので前向きの臨床試験に比べると信頼性が低いのですが、国家単位もしくは保険組織単位でみているのでバイアスはかなり排除されているはずです。感染状況からすると、もはやプラセボを使った臨床試験は倫理上許されないのでしょうね。データの数値に着目してほしいのですが、初回のデータのときの感染予防効果(95%ぐらい)に比べると数値が低くなっています。未接種者vs接種という比較だったので、このデータだったのでしょう。今回は3回接種者と4回接種者の比較なので、感染予防効果という意味では大した差はでなかったようです。差が出たのは入院予防効果・死亡予防効果・重症化予防効果で大雑把にいうと1/3~1/4になったということになります。自治体からの呼びかけや報道をみて分かるように、今回の接種が感染予防ではなく重症化予防とうたっているにはこれらのデータによるものだと思います。
確かにデータをみると、ワクチンはやっておいたほうが良さそうです。ただし、有害事象のことを考えると考えてしまうというのが実際のところでしょうか。